人にも感染!知っておきたい犬のレプトスピラ症と予防法

はじめに
「犬が突然、元気をなくした」「発熱や黄色い目・皮膚、嘔吐や下痢が出ている」――そんなとき、注意したい感染症のひとつがレプトスピラ症です。
犬だけでなく、人にも感染する“人獣共通感染症(ズーノーシス)”で、特に梅雨や台風シーズン、河川や水たまりの多い場所で注意が必要です。
目次
レプトスピラ感染症って?
レプトスピラ感染症は、「レプトスピラ」という細菌が体に入ることで起きる感染症です。
犬の場合は主に腎臓や肝臓がダメージを受け、重症化すると命に関わることもあります。
また、レプトスピラは尿中に長く排出されるため、人への感染(獣医師や飼い主さんなど)も問題となります。
- 発熱・元気消失
- 食欲不振
- 嘔吐・下痢・腹痛
- 黄疸(目や皮膚が黄色っぽくなる)
- 頻尿・血尿・無尿(腎障害が進行すると)
- 筋肉痛、足を引きずる、呼吸困難
- 軽症例ではほとんど症状が出ない場合もありますが、重症化すると突然死もあり得ます
治療について
レプトスピラ症は、早期発見と迅速な治療が命を守るポイントです。
治療の中心は抗生物質(抗菌薬)によるレプトスピラ菌の排除と、症状に応じた入院管理やサポート治療です。
- まずは抗生物質を投与し、原因菌を速やかに排除します。
- 重症例や脱水がある場合は、点滴治療(輸液)で体のバランスを整えます。
- 腎障害や肝障害が進行している場合は、強肝剤や利尿剤を使い、必要なら血液透析も検討します。
- 嘔吐・下痢などの症状が強いときは、消化器症状を抑える薬も補助的に使います。
- 入院での集中的な管理が必要なケースも少なくありません。
日常で気をつけたいこと
- ワクチン接種が最も有効な予防法のひとつです(日本の混合ワクチンにはレプトスピラ型が含まれるものがあります)
- 河川敷・田んぼ・ぬかるみ・野生動物の多い場所での散歩や水遊びをできるだけ避ける
- ネズミの駆除・衛生管理
- 飼い主さんも、犬の尿や排泄物を扱う際は手袋や手洗いを徹底し、人への感染予防を心がける
- 体調に異変があればすぐに受診を!
治療で使う主なお薬と副作用
抗生物質
ペニシリン系抗生物質(例:アンピシリン、アモキシシリン)
作用
レプトスピラ菌を殺菌し、感染を治す。
副作用
下痢、嘔吐、アレルギー反応(発疹、ショック)。ごくまれに重篤なアレルギー。
ドキシサイクリン(テトラサイクリン系)
作用
レプトスピラ菌を殺菌。特に慢性キャリア(菌の長期排出)を防ぐ効果も。
副作用
吐き気、食欲不振、下痢。ごくまれに肝障害。空腹時の投与で嘔吐しやすいので食後投与推奨。
点滴治療(輸液剤)
乳酸リンゲル液、電解質輸液など
作用
脱水・ショックの改善、腎臓や肝臓の負担を軽減する。
副作用
過剰投与による浮腫、肺水腫、心不全。体調や心臓・腎臓の状態に応じて調整が必要。
強肝剤
ウルソデオキシコール酸(ウルソ)、肝臓加水分解物製剤など
作用
肝臓の負担を軽減し、肝機能をサポート。
副作用
まれに消化器症状(嘔吐・下痢)など。
利尿剤
フロセミド(ラシックス)
作用
腎障害や浮腫時に尿量を増やし、余分な水分や老廃物を体外に排出。
副作用
脱水、電解質異常(低カリウム血症など)、腎機能悪化。
制吐薬・消化器薬
マロピタント(セレニア)
作用
強い嘔吐を抑え、体力の消耗を防ぐ。
副作用
まれに食欲不振、下痢、元気消失。
メトクロプラミド(プリンペラン)
作用
胃腸の運動を助け、軽い嘔吐・吐き気を抑える。
副作用
ごくまれに神経症状(興奮、不穏など)。
血液透析(重症時)
人工透析装置を用いた治療
作用
腎臓が働かない場合に血液から老廃物を除去する。
副作用
治療自体が体に負担をかけること、血圧低下、感染リスクなど。
まとめ
レプトスピラ症は犬だけでなく人にも感染する危険な病気ですが、ワクチン接種や日常の注意でしっかり予防できます。
特に夏〜秋、雨の多い季節や水場での散歩の際は気をつけましょう。
気になる症状があれば、早めに動物病院に相談してください。

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