犬猫の肺炎――「咳」「呼吸が苦しそう」は危険信号

はじめに
「ワンちゃんや猫ちゃんが咳をする」「呼吸が荒くて苦しそう」「元気がなくて食欲もない」――
そんなときは「肺炎」の可能性があります。
肺炎は犬猫どちらにも起こる、命に関わることもある呼吸器の病気です。
目次
肺炎って?
肺炎は、肺の中で炎症や感染が起こり、正常な呼吸ができなくなる病気です。
細菌・ウイルス・真菌・寄生虫などさまざまな原因がありますが、
特に子犬や子猫、高齢動物、持病がある子で重症化しやすい傾向があります。
- 咳が続く、痰がからむ
- 呼吸が速い、苦しそう(努力呼吸)
- 発熱
- 元気・食欲の低下
- 鼻水、くしゃみ
- ぐったりして動かない
- 重症の場合は口を開けて呼吸、チアノーゼ(舌や歯ぐきが紫色になる)、失神
治療について
- 原因に応じた抗生物質や抗ウイルス薬・抗真菌薬などの投与
- 酸素吸入、点滴、栄養管理、解熱剤、去痰薬などの対症療法
- 重症例や呼吸困難が強い場合は入院治療が必要
- 合併症や基礎疾患の管理も重要
おうちで気をつけたいこと
- 咳や呼吸の異常、ぐったりして動かないなど「いつもと違う」サインがあれば早めに受診
- 指示された薬や通院をきちんと守る
- 小型犬・短頭種や高齢動物は誤嚥予防にも注意
- 予防ワクチンの接種も大切
治療で使われる主な薬と副作用
抗生剤(細菌性肺炎の基本治療)
アモキシシリン、アモキシシリン・クラブラン酸、セファレキシン、エンロフロキサシン、アジスロマイシンなど
作用
肺の感染(細菌)を抑えて治します。原因菌や症状によって薬を選びます。
副作用
下痢、食欲不振、嘔吐、まれにアレルギー反応や肝臓への負担。
抗ウイルス薬(ウイルス性肺炎の場合)
インターフェロンなど
作用
ウイルス感染の増殖を抑えます。ウイルス性肺炎に補助的に使われます。
副作用
食欲不振、発熱、元気消失、注射部位の腫れ(薬による)。
抗真菌薬(真菌性肺炎の場合)
イトラコナゾールなど
作用
カビ(真菌)による肺炎を治療します。
副作用
食欲不振、嘔吐、下痢、まれに肝障害。
鎮咳薬(咳がつらい場合)
ブトルファノール
分類
鎮咳薬・鎮痛薬
作用
咳を抑え、休息を助けます。
副作用
眠気、ふらつき、食欲低下、便秘、まれに呼吸抑制。
補助療法・その他
点滴(輸液)・酸素吸入・ネブライザー吸入
作用
脱水防止・呼吸のサポート。
副作用
点滴の過剰投与でむくみや肺水腫(病院管理下で注意)。
まとめ
肺炎は命に関わることもある呼吸器の重い病気です。
早期発見・早期治療が回復へのカギとなります。
「咳が続く」「息が苦しそう」などの変化に気づいたら、様子を見ずにすぐに動物病院でご相談ください。

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