犬の偽妊娠――妊娠していないのに母性があらわれる?よくある“女の子の変化”

はじめに
「避妊していない女の子のワンちゃんが、妊娠していないのに乳腺が張って母乳が出る」「巣作りのような行動をしたり、ぬいぐるみを守るようになった」――
こうした様子は「偽妊娠」と呼ばれる状態かもしれません。
犬ではとてもよくみられる生理現象です。
目次
偽妊娠って?
偽妊娠は、妊娠していないのに、発情(ヒート)の2~3週間後から「妊娠・出産後」のような母性行動や体の変化がみられる状態です。
特に避妊手術をしていない雌犬でよくみられます。
- 乳腺が張って大きくなり、母乳が出ることも
- 巣作り(ベッドや毛布を集める)やぬいぐるみを育てるような母性行動
- 食欲の低下や逆に増加
- 落ち着きがなくなる、神経質になる
- 乳腺炎を併発することも
治療について
ほとんどの場合、自然に数週間で回復します。
- 乳腺を強く刺激しない、母乳はしぼらない(刺激すると分泌が長引くため)
- 神経質な行動が強い場合や乳腺炎を併発した場合は薬でサポート
- 症状が長引く・重症の場合、ホルモン療法や避妊手術を検討
おうちで気をつけたいこと
- 無理に母乳をしぼったり、巣作りを妨げたりしない
- 食欲や元気、乳腺の腫れや赤みを観察し、変化があれば受診
- 偽妊娠を繰り返す場合や重症化する場合は、避妊手術を考えましょう
治療で使われる主な薬と副作用
ホルモン療法
カベルゴリン(カバサール®)など
分類
ドパミン作動薬
作用
プロラクチンを抑えて偽妊娠症状を改善します。ブロモクリプチンより副作用がやや少なめ。
副作用
食欲不振、嘔吐、下痢、元気消失。
補助療法・生活指導
乳房マッサージや温罨法の中止
作用
刺激を与えると乳汁分泌が長引くため、できるだけ乳房への刺激を避けます。
副作用
特になし。
エリザベスカラー装着(過剰な舐めや刺激予防)
作用
舐めて刺激を与えないように一時的にカラーをつけることがあります。
副作用
ストレスになる場合もあります。
まとめ
偽妊娠は犬でとてもよくみられる一時的な生理現象です。
ほとんどの場合、自然に治りますが、症状が重い場合や繰り返す場合はご相談ください。
日ごろから発情周期や体調の変化をよく観察してあげることが大切です。

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