突然の下痢や嘔吐、どうすればいい?

はじめに

犬や猫が急に下痢や嘔吐をしたとき、多くの飼い主さまが「何か悪いものを食べたのかも?」と心配されます。

実際には、何も原因が思い当たらなくても、突然お腹のトラブルが起こることがあります。
その代表が「急性胃腸炎」です。

目次

急性胃腸炎とは

胃や腸の粘膜に短期間で炎症が起こり、下痢や嘔吐を中心とした消化器症状が現れる病気です。たいていの場合、症状は数日(48時間以内)で治まることが多いですが、油断は禁物。時には脱水や重い合併症につながることもあります。

  • 急な下痢、軟便
  • 嘔吐(食べ物、泡、胃液などを吐く)
  • 食欲低下、元気がない
  • お腹を痛がるようなしぐさ
  • 場合によっては発熱

多くは元気や食欲の低下が同時にみられるため、いつもと違う様子に飼い主さまもすぐ気づくことが多いです。

治療について

軽度の場合、原因となる食べ物や異物を避け消化にやさしいご飯にする、対症療法(点滴や吐き気止め、下痢止め等)で回復します。
ただし、症状が強い場合や重度脱水が見られる場合は、入院管理での治療が必要です。原因の特定のため、追加検査(血液検査や画像検査)を行います。
また、ウイルスや細菌感染が疑われる場合は、それに応じた治療(抗生剤、駆虫薬など)を追加します。

治療のポイント

  • 脱水の予防・改善がとても大切です
  • 食欲や元気が戻れば、徐々に普通の食事に戻してOK
  • 子犬や子猫、高齢・持病がある子は重症化しやすいので早めの受診を

おうちで気をつけたいこと

  • 急な下痢や嘔吐があったら、まずはご飯やおやつを一時中止し、水分補給に努めましょう
  • 1〜2日で元気や食欲が戻れば大きな心配はいりません
  • 繰り返す、ぐったりしている、血便や黒色便、激しい嘔吐・下痢がある場合はすぐに病院へ
  • 異物や毒物を飲み込んだ場合は自己判断せず、必ず動物病院に連絡を

治療で使われる主な薬と副作用

1. 消化管運動促進剤・制吐剤

プリンペラン(メトクロプラミド)

作用
消化管の動きを良くし、吐き気や逆流を防ぐ。
副作用
まれに眠気、ふるえ、落ち着きのなさ、下痢。

プロナミド(モサプリド)

作用
胃や腸の動きを活発にして、吐き気や食欲不振、便秘に効果。
副作用
まれに下痢や軟便、軽い興奮や食欲増進。
2. 制吐剤(嘔吐が強い場合)

マロピタント(セレニア)

作用
嘔吐中枢に働き、強い吐き気や嘔吐をしっかり止める。
副作用
食欲増進、まれに注射部位の痛みや下痢。
3. 下痢止め・腸粘膜保護薬・鎮痙薬

ディアバスター

作用
薬用炭が腸内の有害物質や毒素・ガスを吸着し、タンニン酸アルブミンが腸粘膜を保護。下痢の補助治療として広く使われます。
副作用
まれに便秘、黒色便、嘔吐。

ブスコパン(ブチルスコポラミン臭化物)

作用
腸の平滑筋(筋肉)をやさしく緩めて、お腹の痛み・痙攣性の腹痛や下痢を和らげる鎮痙薬です。過敏性腸症候群やけいれんを伴う下痢の際に使われます。
副作用
口渇、便秘、心拍数の増加、まれにふらつきや尿が出にくいことがあります。
消化管保護薬

ファモチジン(ガスター®)、オメプラゾール(オメプラール®)など

作用
胃酸の分泌を抑え、胃腸の粘膜を守る。
副作用
ほとんどなし、まれに便秘や下痢。
4. 抗生剤(感染症を伴う場合など)

アモキシシリン(アモキクリア)など

作用
広範囲の細菌感染症に効果的。
副作用
まれに下痢、嘔吐、食欲不振、アレルギー。
整腸剤・プロバイオティクス

ビオフェルミン®(乳酸菌製剤)、ビフィズス菌サプリ

作用
腸内環境を整え、下痢や便秘の回復をサポート。
副作用
ほとんどなし。
5. 点滴・補液療法

乳酸リンゲル液など

作用
脱水や電解質異常を改善。
副作用
過剰時にむくみや心臓負担。

まとめ

急性胃腸炎は、犬や猫がよくかかる病気のひとつですが、ほとんどは数日で回復します。
しかし、症状が重い場合や長引く場合、ぐったりしている場合は、必ず動物病院で診察を受けてください。

日頃から、ペットが口にするものや環境に注意し、健康管理を心がけましょう。
「急な下痢や嘔吐で心配…」そんな時は、焦らずに、まずはご相談ください。

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