歩き方の変化、原因は?―変形性関節症と多発性関節炎

はじめに
「最近うちの子、歩き方がおかしい気がする」「高い所に登らなくなった」「散歩を嫌がるようになった」
そんなとき考えられるのが、「関節のトラブル」です。
動物たちに多い関節の病気には「変形性関節症」と「多発性関節炎」があります。
この2つは原因も治療法も異なるため、正しい理解がとても大切です。
目次
変形性関節症って?
関節の使いすぎや加齢、外傷などで関節の軟骨がすり減り、少しずつ炎症や痛みが出てくる慢性の関節病です。
最も多い関節炎のタイプで、特に高齢の犬・猫に非常に多く、猫では8割近くに認められるとも言われます。
1つの関節から始まり、進行とともに複数の関節に症状が出ることも。
- 歩き方の異常(びっこ・ふらつき・ジャンプをしなくなる)
- 活動性の低下・元気消失
- 立ち上がりや階段昇降の困難
- 筋肉の萎縮や関節の変形(慢性的に進行)
多発性関節炎って?
2つ以上の関節に同時に炎症が起こる状態です。
主に「免疫の異常」や「感染」が原因で、急激な痛みや腫れ、発熱をともなうこともあります。
比較的若い犬にも発症することがあり、突然の跛行や発熱を認める場合は注意が必要です。
- 歩き方の異常(びっこ・ふらつき・ジャンプをしなくなる)
- 活動性の低下・元気消失
- 立ち上がりや階段昇降の困難
- 関節を触ると痛がる、腫れ・熱感
- 食欲不振や発熱
治療について
変形性関節症
- 体重管理がとても大切です。肥満は関節に大きな負担をかけます。
- 無理のない運動(短い散歩や水遊びなど)で筋力を保つことが進行予防につながります。
- 関節サプリメント(グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸など)や関節保護剤(カルトロフェンなど)が役立ちます。
- 痛みや炎症が強い場合は消炎鎮痛薬(NSAIDs)を使用します。
- 手術が必要なケース(関節の重度変形など)はごく一部ですが、外科的治療も選択肢のひとつです。
多発性関節炎
- 原因が「免疫異常」の場合はステロイド薬や免疫抑制薬が中心となります。
- 痛みや炎症には消炎鎮痛薬(NSAIDs)も使用します。
- 感染性の場合は抗生物質での治療が必須です。
- 関節保護剤やサプリメントも補助的に使われます。
- 重症やコントロール不良の場合は免疫抑制薬(シクロスポリン、アザチオプリン等)の併用も考慮します。
- 基本的に外科的治療は少なく、関節内洗浄や感染巣の除去などがまれに必要です。
日常で気をつけたいこと
- 体重管理
肥満を防ぐことで関節への負担を減らします。 - 無理のない運動・安静
その子の状態に合わせて散歩や遊びを調整しましょう。 - ジャンプや階段の昇降は注意
特に高齢動物や痛みの強い時期は避けてください。 - 日々の小さな変化を見逃さない
「歩き方が変わった」「寝てばかりいる」などが初期サインです。
治療で使う主なお薬と副作用
消炎鎮痛薬
NSAIDs:メロキシカム、フィロコキシブなど
作用
炎症と痛みを抑え、関節の動きをサポートします。
副作用
胃腸障害(嘔吐、下痢)、食欲不振、肝障害や腎障害(特に高齢動物で注意)
関節保護剤
カルトロフェン:ポリ硫酸ペントサンナトリウム
作用
関節軟骨の保護・修復、関節液の分泌促進、炎症や痛みの緩和
副作用
注射部位の腫れ、一過性の元気消失、ごくまれに出血傾向
サプリメント
グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸
作用
関節の軟骨保護や炎症抑制を補助
副作用
まれに下痢や軟便
ステロイド薬
プレドニゾロンなど
作用
強力な抗炎症・免疫抑制作用で多発性関節炎に有効
副作用
多飲多尿、食欲増加、感染症リスク、糖尿病、筋萎縮(長期使用で増加)
免疫抑制薬
シクロスポリンなど
作用
免疫の過剰な反応を抑え、多発性関節炎の制御に使用
副作用
感染症リスク、肝障害、消化器症状
抗生物質(感染性多発性関節炎の場合)
アモキシシリンなど
作用
関節内の細菌感染の治療
副作用
下痢、嘔吐、食欲不振、アレルギー反応
まとめ
関節のトラブルには「加齢や使いすぎ」による変形性関節症と、「免疫や感染」による多発性関節炎の2つのタイプがあります。
どちらも「早期発見・早期治療」と「継続的なケア」がとても大切です。
特に猫では高齢になるほど関節炎が増え、“動きが鈍くなった”などの変化を見逃さないことが重要です。

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