脱毛・被毛の薄化があるときに疑われる病気

目次
セルフチェックリスト
脱毛に気づいたら、以下の項目を順にチェックしてみましょう。
Q1
皮膚に赤みや腫れ、かさぶた、痒みはありますか?
Q2
脱毛した毛の先端は、尖って細いですか?それとも折れたり丸まっていますか?
Q3
脱毛と同時に、ホルモンの異常(左右対称性の脱毛、皮膚の黒ずみ、体重変化、食欲・元気の変化など)はありませんか?
Q4
脱毛した部分をよく舐めていたり、ストレスや環境の変化がありませんか?
各分岐ごとの鑑別疾患
①
皮膚に炎症がない+毛先が尖っている+ホルモン異常が疑われる
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- エストロゲン過剰症
- 医原性脱毛(グルココルチコイドなど薬剤性)
②
皮膚に炎症がない+毛先が尖っている
- 円形脱毛症
- 休止期脱毛症
- 毛包形成異常
③
皮膚に炎症がない+毛先が折れている
- 皮膚糸状菌症
- 成長期脱毛
④
皮膚に炎症がない+毛先が折れている+舐め壊しがある
- 心因性脱毛
- そう痒 → さらに「かゆみ(そう痒)」セルフチェック・鑑別へ
(かゆみがある場合は、ノミ・ダニ・アレルギー・感染症など幅広い疾患の鑑別が必要)
⑤
皮膚に炎症がある(赤み・かさぶた・痒み・腫れなど)
- 細菌感染(膿皮症)
- マラセチア感染症(酵母菌)
- 皮膚糸状菌症(カビ)
- 疥癬(ヒゼンダニ)
- 毛包虫症(アカラス)
- ノミ・ダニ寄生
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 環境アレルギー
- 接触アレルギー
まとめ
脱毛・被毛の薄化は、ホルモン異常、毛包疾患、感染症、寄生虫、アレルギー、自己免疫疾患、腫瘍、角化異常、行動性、外傷や環境要因など、多岐にわたる原因が考えられます。
特に「左右対称」「かゆみがない」「皮膚の色や厚さの変化」「同時に多飲多尿・元気食欲の変化」があれば、内分泌疾患(ホルモン異常)を疑います。
一方、「赤みやかさぶた」「かゆみが強い」「脱毛部にかさぶた・膿」などがあれば、感染症や寄生虫・アレルギー性皮膚炎なども可能性があります。
気になる症状があれば、症状の出方・経過・併発する症状も合わせて、動物病院で相談しましょう。
診断のためには、皮膚の状態や脱毛のパターン、発症時期、他の症状も重要な手がかりになります。

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