下痢のときに疑われる病気まとめ

セルフチェックリスト
下痢に気づいたら、以下の項目を順にチェックしてみましょう。
Q1
下痢が始まってから、1週間以内ですか?
Q2
最近、腐った食べ物やゴミ、異物(おもちゃ、布など)を食べてしまった可能性はありますか?
Q3
急にごはんを変えたり、新しい食べ物をあげましたか?
Q4
他の犬猫、野生動物と最近接触した、またはペットホテルなどに行きましたか?
Q5
若い(1歳未満)犬や猫ですか?
Q6
嘔吐や元気消失、ぐったりしているなど全身症状もありますか?
Q7
下痢の性状・症状から「大腸性下痢」or「小腸性下痢」どちらが考えられますか?
【大腸性下痢の特徴】
- 頻回な少量の下痢
- 血便や粘液便が多い
- 排便時にいきみや痛み
- 排便後もしぶり(残便感)
【小腸性下痢の特徴】
- 量が多く水様性
- 回数はそこまで多くない
- 体重減少・栄養状態の低下
- 黒色便(タール便)
- 吐き気や嘔吐も伴うことがある
(当てはまる方をチェックしてください)
Q8
便の量が多く、においがきつい/脂っぽい便ですか?
Q9
便に血が混じる、また下痢以外にも熱っぽさや嘔吐などの症状がありますか?
Q10
慢性的な疾患(甲状腺、肝臓、腎臓、心臓)を持っていますか?
Q11
抗生剤を飲み始めてから下痢になりましたか?
Q12
食事を変えると症状が変わる/アレルギー体質ですか?
Q13
何度も排便姿勢を取るが、少しずつしか出ず、粘液や血が混じりますか?
Q14
お尻や肛門周囲が腫れている、または触ると痛がる様子は?
Q15
排便後もすっきりしない、残便感が強そうですか?
Q16
抗生剤を飲み始めてから下痢になりましたか?
Q17
高齢または腫瘍の既往歴があり、大腸に影があると言われたことがある?
各分岐ごとの鑑別疾患
A
食餌性/異物性下痢
- 腐った食べ物・ゴミ・異物摂取
- 食事の変更(急なフード変更や食物不耐性)
- 異物誤飲(腸閉塞を含む)
B
食事の変更・アレルギー
- 急なフード変更
- 新しいおやつ・食べ物
- 食物アレルギー
- 食事反応性下痢
C
感染症(ウイルス・細菌・寄生虫)の疑い
- ウイルス感染(ジステンパー、パルボウイルスなど)
- 細菌感染(サルモネラ症、カンピロバクター症など)
- 寄生虫感染(コクシジウム、ジアルジア、回虫など)
D
寄生虫感染の疑い
- ジアルジア症
- コクシジウム症
- 回虫・鉤虫など
E
重症感染症・消化管以外の疾患
- 膵炎
- 腎不全
- 副腎皮質機能低下症(アジソン病)
- 重症感染症(上記Cとも重複あり)
早めの受診を!
F
一時的な消化不良やストレスによる下痢の可能性
- 軽度の消化不良
- ストレス性下痢
- 環境変化・一過性要因
数日で改善しない場合は受診を
G
小腸吸収不良症/消化不良
- 小腸吸収不良症
- 外分泌膵不全(EPI)
- 胆汁鬱滞
- 慢性的な感染症(慢性寄生虫症・真菌症)
H
腸壁破壊の疑い
- 腸壁壊死
- パルボウイルス腸炎
- 腸重積
- 異物による腸障害
I
二次性小腸性下痢の疑い
- 甲状腺機能亢進症
- 肝疾患
- 門脈圧亢進症
- 心疾患
- 腎疾患による二次性腸症状
J
抗菌薬による腸内細菌異常
- 抗生剤投与後の腸内細菌バランスの乱れ
- 長期抗菌薬治療後の下痢
K
食事反応性下痢/食物アレルギーの疑い(慢性)
- 食物アレルギー
- 食事反応性腸症
L
タンパク喪失性疾患の可能性
- リンパ管拡張症
- 消化管リンパ腫
- 炎症性腸疾患(IBD)
- 浸潤性真菌症(ヒストプラズマ症など)
M
炎症性腸疾患(IBD)や感染性腸炎の疑い
- IBD(炎症性腸疾患)
- 組織球性潰瘍性大腸炎
- 感染性腸炎(クロストリジウム、ジアルジア、トリトリコモナス胎児など)
N
解剖学的異常
- 会陰ヘルニア
- 大腸狭窄
- 回盲部陥入
0
過敏性腸症候群/繊維反応性下痢
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 繊維反応性下痢
- ストレス起因の大腸症状
P
腫瘍の疑い
- 原発性結腸腫瘍
- 転移性大腸疾患
まとめ
下痢は「たまたま食べすぎただけ」と思いがちですが、重い感染症や内臓の病気、寄生虫など多くの原因が考えられます。
特に「何度も続く」「ぐったりしている」「血が混じる」「嘔吐も伴う」「子犬・子猫や高齢の動物」などの場合は、早めの受診が必要です。
大切な家族の健康のために、気になる下痢が続くときや他の症状を伴うときは、迷わず動物病院へご相談ください。
ご来院の際は、便の色や回数、いつから続いているか、他の症状などもお知らせいただけると診断の助けになります。

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