子犬の突然の下痢・嘔吐は要注意!犬パルボウイルス感染症

はじめに
「突然、子犬が激しい下痢や嘔吐を起こした…」「元気がなく食欲もない」
そんなとき、考えられる重大な感染症の一つが犬パルボウイルス感染症です。
とても強いウイルスで、特に子犬に重篤な症状を引き起こす怖い病気ですが、正しい知識と早めの対策で守れる命もたくさんあります。
目次
犬パルボウイルス感染症って?
犬パルボウイルス感染症は、犬パルボウイルスという非常に感染力の強いウイルスが原因で起こる、主に消化器症状を中心とした感染症です。
特にワクチン未接種の子犬や、免疫力の低い犬に重い症状が現れやすく、最悪の場合は命に関わることもあります。
- 激しい水様性〜血便の下痢(しばしば非常に特有の臭い)
- 激しい嘔吐
- 食欲不振・元気消失
- 急激な脱水・体重減少
- 発熱(あるいは体温低下)
- 重度になるとショック症状や死亡も
治療について
パルボウイルス感染症に対する特効薬(ウイルスを直接殺す薬)はありません。
そのため治療の中心は、症状を抑えながら体力が回復するのを待つ「支持療法」となります。
- 点滴による脱水・電解質バランスの是正
(食事や水分が取れない場合は特に重要です) - 制吐薬・止瀉薬の使用
(嘔吐や下痢のコントロール) - 抗生剤(細菌の二次感染予防)
(腸粘膜のバリアが壊れるため、敗血症予防目的で使用) - 栄養管理
(状態が落ち着いたら早期に栄養補給を目指す) - 重症例では血漿・アルブミン製剤、輸血も検討
日常で気をつけたいこと
- ワクチン接種が最大の予防法です。特に子犬の時期は獣医師の指示に従い、複数回のワクチン接種を完了させましょう。
- 発症例の犬と接触した犬・物品・場所には十分注意(ウイルスは消毒薬が効きにくく、普通の洗剤やアルコールでは死にません。次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒が必要)
- 子犬の便がいつもと違う、激しい嘔吐や元気消失があれば早めに受診を
- 治療中や回復後も、しばらくは他の犬との接触を避けるようにしましょう
治療で使う主なお薬と副作用
脱水・ショック対策
輸液剤(点滴)
作用
脱水改善、電解質バランス維持、ショック対策
副作用
適量管理が重要(過剰投与で心不全リスク、低アルブミン血症時の浮腫)
下痢のコントロール
パルボウイルス感染症の場合、「下痢を止める薬」は慎重に使う必要があります。
「症状や状態に応じて、獣医師が必要最小限・補助的に使用する」スタンスです。
ロペラミド
作用
腸管運動を強く抑制し、下痢を止める。
副作用
腸の動きを強く止めてしまう薬は、ウイルスや毒素の排出を妨げてしまい危険なことがあるため、基本的にはあまり使いません。
ブスコパン(ブチルスコポラミン)
作用
腸の痙攣(けいれん)や痛みを和らげる鎮痙薬。
副作用
ごくまれに便秘、口渇、頻脈など。下痢を直接止める薬ではありませんが、痛み緩和目的で一時的に使用されることがあります。
ディアバスター(タンニン酸アルブミン、アクリノール、ゲンノショウコなど)
作用
腸粘膜を保護し、軽い止瀉作用。腸の動きを強く止めるものではないため、ロペラミドよりは安全。
副作用
まれに便秘や食欲低下。
※ウイルス性腸炎の根本的な治療にはなりませんが、必要に応じて補助的に使われることがあります。
制吐薬
マロピタント、メトクロプラミドなど
作用
嘔吐を抑えて体力消耗・脱水を防ぐ
副作用
ごくまれに元気消失や神経症状
二次感染対策
抗生剤(アモキシシリン、セファレキシンなど)
作用
腸の粘膜バリアが壊れているため、腸内・血液の細菌感染(敗血症)を予防
副作用
下痢、アレルギー、まれに肝障害
栄養・補助療法
早期栄養管理(消化態流動食、経鼻胃チューブなど)
作用
体力維持、腸の修復を助ける
副作用
状態によっては誤嚥や消化不良
まとめ
犬パルボウイルス感染症は、子犬を中心に重症化しやすい怖い感染症ですが、「予防」と「早期対応」で多くの命を守ることができます。
ワクチンで予防し、万一症状が出たらすぐに動物病院に相談を。
ご家族の大切なわんちゃんを守るために、正しい知識と日々の観察が何より大切です。

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