歩き方がヘン?「膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼)」にご注意!

はじめに
「急に片足を浮かせて歩き始めた」「スキップするような歩き方をしている」――
こんな様子が見られたら、それは膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼)かもしれません。
膝のトラブルは放っておくと悪化しやすいので、気になる症状があれば早めに動物病院へご相談ください。
目次
膝蓋骨脱臼って?
膝蓋骨(パテラ)は膝のお皿の骨のことです。
本来は膝の真ん中でしっかり動いていますが、脱臼すると外側・内側に外れてしまい、正常な歩行ができなくなります。
小型犬で内方脱臼が多いですが、猫や大型犬でも見られることがあります。
グレード(重症度)分類
膝蓋骨脱臼は、症状の重さや脱臼の戻りやすさによってグレード1〜4に分類されます。
グレード1
普段は膝蓋骨(お皿の骨)が正しい位置にあるが、指で押すと簡単に外れる。手を離すと自然に元の位置に戻る。
→ 症状はほとんど出ず、気づかれにくいことが多いです。
グレード2
普段も時々外れていることがあり、歩いている途中で膝が外れることも。外れたままでも手で簡単に戻せる。
→ 片足を浮かせて歩く「スキップ歩行」が見られることも。
グレード3
膝蓋骨がほとんど外れていて、手で押してもすぐまた外れてしまう。自然に元の位置には戻らない。
→ 歩き方に明らかな異常が見られ、痛みや跛行が続く。
グレード4
常に膝蓋骨が外れていて、手でも元に戻せない。膝関節が大きく変形してしまうことも。
→ 両足が重度の場合、歩行困難やほとんど歩けなくなることも。
- 後ろ足を突然あげて歩く/スキップのような歩き方
- 立ち上がる時や走った後に足を引きずる
- 階段やジャンプを嫌がる
- 長期間進行すると膝関節が腫れる、歩くのを嫌がる
- 重症では常に足を着けなくなる、歩行困難に
治療について
膝蓋骨脱臼の治療は、症状の重さやグレード(進行度)によって異なります。
- 軽度(グレード1~2)の場合は、安静・体重管理・運動制限・お薬による内科的サポートで経過観察することが多いです。
- 進行性や重度(グレード3~4)、症状が続く場合は、外科手術(膝蓋骨を本来の位置に戻す手術)が推奨されます。
- 脱臼が進行すると、変形性関節症や靱帯断裂など、他の関節疾患の原因になることもあるため、早めの対応が大切です。
- 術後もリハビリや生活環境の見直しが大切です。
おうちで気をつけたいこと
- フローリングや滑りやすい床はマットなどで対策を
- ジャンプや急な運動は控える
- 適正体重の維持、栄養バランスの良い食事を心がける
- 定期的な動物病院での健康チェックを
- 症状が再発した場合や、悪化した場合はすぐ受診を
治療で使われる主な薬と副作用
消炎鎮痛薬(痛みや炎症を抑える)
メロキシカム(メタカム®)、ロベナコキシブ(オンシオール®)など
作用
長期間の使用でも副作用が少なく、猫にも使いやすい。
副作用
消化器症状、腎機能低下。
関節の保護・修復を助けるサプリメント
カルトロフェン(カルトロフェン・ベット)
作用
関節の軟骨や関節液の健康をサポートし、炎症や痛みを和らげます。注射薬として動物病院で使用されます。
副作用
まれに注射部位の腫れやアレルギー反応。また、出血を助長するため膀胱炎などのがある場合は注意。
グルコサミン・コンドロイチン
作用
軟骨や関節の健康維持をサポート。サプリメントとして使用。
副作用
ほとんどなし(稀にアレルギー)。
ヒアルロン酸、オメガ3脂肪酸
作用
関節の炎症軽減や滑らかな動きを助ける。
抗生剤・その他(手術後や合併症に応じて)
抗生剤
作用
手術後の感染予防や細菌感染時に使用。
副作用
下痢・嘔吐、アレルギー反応など。
筋弛緩薬・ビタミンB群
作用
神経の回復や緊張緩和を補助的にサポート。
まとめ
膝蓋骨脱臼は小型犬や猫で多く見られる病気ですが、早めの発見と適切な治療で元気に生活することができます。
歩き方や足の使い方に変化を感じたら、自己判断せず動物病院で診察を受けましょう。

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