急に後足を引きずる…それ、前十字靱帯断裂かも?

はじめに
「急に後ろ足を浮かせて歩きたがる」「散歩の途中でピタッと止まって動かなくなった」――
そんな時、疑われる運動器のトラブルのひとつが前十字靱帯断裂です。
痛みが強く、放っておくと関節の変形や歩行困難につながることも。
目次
前十字靱帯断裂って?
前十字靱帯断裂は、犬の後ろ足のケガや病気の中でもとても多いトラブルです。
前十字靱帯は、膝の中にある大事なバンドのような役割の靱帯で、
膝が伸びすぎたり、すねの骨(脛骨)が前にずれたり、膝がねじれすぎるのを防いでくれています。
この靱帯が切れてしまうと、
膝がグラグラして安定しなくなり、すねの骨が前にずれたり、膝が必要以上にねじれてしまうため、
強い痛みや歩きにくさ、足をかばう歩き方(跛行)が出てきます。
- 突然の後ろ足の跛行(足を浮かせて歩く、ケンケンする)
- 歩き方がぎこちない・スキップするような歩行
- 膝の腫れや、痛がる様子
- 起き上がるのを嫌がる、散歩を嫌がる
- 両側が切れると立ち上がれなくなることも
治療について
前十字靱帯断裂は自然治癒が難しく、多くの場合手術が必要となります。
- 外科手術(TTA法、TPLO法、関節外法など)で靱帯の機能を補い、関節の安定化を図ります。
- 軽症や小型犬・猫で手術が難しい場合は、安静・体重管理・鎮痛剤で経過を見ることもありますが、進行性の関節炎や痛みが残ることが多いです。
- 手術後はリハビリテーションや運動制限が重要で、回復を早めるポイントとなります。
おうちで気をつけたいこと
- 手術後はしばらく安静を守り、ジャンプや激しい運動を避けましょう
- 適正体重を維持し、膝への負担を減らすことが大切です
- 足腰にやさしいマットや段差解消グッズを使い、滑りやすい床を避ける
- 回復の様子や再発サインがあればすぐに動物病院へ
- 獣医師の指示どおりにリハビリやお薬管理をしましょう
治療で使われる主な薬と副作用
消炎鎮痛薬(痛みや炎症を抑える)
メロキシカム(メタカム®)、ロベナコキシブ(オンシオール®)など
作用
長期間の使用でも比較的副作用が少ない。猫にも使いやすい。
副作用
消化器症状、腎機能低下。
関節の保護・修復を助ける薬・サプリメント
カルトロフェン(カルトロフェン・ベット®)
作用
関節軟骨や関節液の健康維持、炎症軽減をサポート。定期的な注射で術後ケアや関節症の進行抑制に。
副作用
まれに注射部位の腫れやアレルギー反応。また、出血を助長するため膀胱炎などのがある場合は注意。
グルコサミン・コンドロイチン、ヒアルロン酸、オメガ3脂肪酸
作用
関節の軟骨保護や炎症抑制。サプリメントとして補助的に。
抗生剤・その他(手術後や合併症に応じて)
抗生剤
作用
手術後の感染予防や細菌感染時に使用。
副作用
下痢・嘔吐、アレルギーなど。
まとめ
前十字靱帯断裂は、しっかり治療すれば元気に歩けるようになる子も多いですが、
早めの診断と適切な治療・リハビリが大切です。
「歩き方がいつもと違う」と感じたら、無理をさせず、動物病院にご相談ください。

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