肺水腫――突然の呼吸困難や咳、命に関わる緊急事態

はじめに
「急に呼吸が苦しそうになった」「ガーガー・ゼーゼーという咳をする」「舌や歯ぐきが青紫色になっている」――
そんなときは「肺水腫」という、命に関わる緊急の状態かもしれません。
目次
肺水腫って?
肺水腫とは、肺の中に本来たまらないはずの水分(液体)がたまってしまい、呼吸がしづらくなる状態です。
肺は「空気と血液がガス交換する場所」ですが、そこに水分があふれることで酸素が十分に取り込めなくなり、全身が酸素不足になります。
- 呼吸が速く、苦しそう(努力呼吸・開口呼吸)
- ガーガー、ゼーゼーといった異常な呼吸音
- 咳(泡状の痰やピンク色の液体を吐くことも)
- ぐったりする、動かない
- 舌や歯ぐきが青紫色になる(チアノーゼ)
- 横になるのを嫌がる(座ったまま、首を伸ばす姿勢)
進行が早く、短時間で命に関わることもあります。
治療について
肺水腫は緊急治療が必要な状態です。
- 酸素吸入(酸素室や酸素マスク)
- 利尿薬(余分な水分を体外に出す)の投与
- 点滴や薬で心臓の負担を軽減
- 安静とストレスの回避
- 原因が心臓病の場合は、その治療も併せて行う
重症例や改善しない場合は入院治療が必要です。
おうちで気をつけたいこと
- 呼吸が苦しそう、咳やチアノーゼが出ているときは、すぐに受診!
- 持病(心臓病、腎臓病)がある子は、定期的な検査や内服薬の継続を
- 落ち着いた後も、獣医師の指示に従いしっかり経過観察を
治療で使われる主な薬と副作用
利尿薬
フロセミド(ラシックス®)
分類
ループ利尿薬
作用
体にたまった余分な水分を尿として排出し、肺や体のむくみを減らします。肺水腫の緊急治療の中心です。
副作用
脱水、食欲不振、頻尿、低カリウム血症、腎機能悪化。
スピロノラクトン
分類
カリウム保持性利尿薬・アルドステロン拮抗薬
作用
心臓病や慢性の肺水腫管理の補助に使われます。
副作用
まれに高カリウム血症、食欲不振、嘔吐。
酸素療法
酸素吸入・酸素室
作用
呼吸を助け、体に十分な酸素を送り込みます。
副作用
特にありませんが、病院で安全管理のもと行います。
強心薬(心不全を伴う場合)
ピモベンダン(ベトメディン®)
分類
強心薬・血管拡張薬
作用
心臓の働きをサポートし、全身の血流を良くします。
副作用
まれに食欲不振、嘔吐、下痢、落ち着きのなさ、心拍数増加。
血管拡張薬・ACE阻害薬
エナラプリル、ベナゼプリル等
分類
ACE阻害薬
作用
血管を拡張し心臓や肺への負担を減らします。
副作用
まれに食欲不振、下痢、低血圧、腎機能悪化。
まとめ
肺水腫は呼吸困難や咳、ぐったりするなどの症状が急激に進行し、命に関わる重大な病気です。
「いつもと違う苦しそうな呼吸」や「舌の色の変化」に気づいたら、すぐに動物病院に連絡し、早急な治療を受けましょう。

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