犬猫の乳腺腫瘍――しこりに気づいたら、すぐにご相談を

はじめに

「お腹をなでていたら“しこり”を見つけた」「乳首のまわりが腫れている」――
そんなとき、「乳腺腫瘍」という病気が隠れているかもしれません。
特に避妊していない雌犬・雌猫で多くみられる腫瘍です。

目次

乳腺腫瘍って?

乳腺腫瘍は、乳腺(おっぱい)の組織にできる“しこり”や“できもの”です。
犬猫ともに見られますが、犬ではおよそ半分が悪性腫瘍、猫では8割以上が悪性といわれています。
悪性の場合は進行が早く、肺やリンパ節に転移しやすい
ため注意が必要です。

  • 乳首やお腹まわりに「しこり」「できもの」ができる
  • しこりが急に大きくなったり、硬くなる
  • しこりの表面が赤くなったり、傷になったり、膿が出ることも
  • 進行すると、食欲低下や元気消失、呼吸困難(転移時)

治療

基本は外科的な切除手術です。

  • しこりだけでなく、必要に応じて周囲の乳腺やリンパ節も一緒に摘出します
  • 悪性の場合や転移がある場合は、抗がん剤治療を追加することも
  • 早期発見・早期手術が予後を大きく左右します

おうちで気をつけたいこと

  • 日ごろからお腹や乳腺を「なでて触って」チェックする習慣を
  • しこりや異常に気づいたら、すぐに動物病院へ
  • 避妊手術は乳腺腫瘍の予防に最も効果的です
  • 手術後も定期検診や再発・転移のチェックが重要です

治療で使われる主な薬と副作用

外科治療

乳腺腫瘍摘出手術(部分切除・片側全摘出・両側全摘出など)

作用
腫瘍を外科的に取り除き、根治や転移予防を目指します。犬猫どちらでも最も一般的な治療法です。
副作用
麻酔リスク、術後の痛みや腫れ、まれに出血や感染。
抗がん剤(悪性例・転移例での補助治療)

ドキソルビシン、カルボプラチン、シクロフォスファミドなど

分類
抗腫瘍薬・化学療法薬
作用
全身に広がった腫瘍細胞の増殖を抑えます。手術後の再発予防や進行例の延命目的で使用されることがあります。
副作用
吐き気、食欲不振、脱毛、白血球減少、免疫力低下、腎障害や心臓への負担(薬による)。
鎮痛薬・補助療法

NSAIDs(カルプロフェンなど)、オピオイド鎮痛薬(ブトルファノール等)

作用
手術後や腫瘍による痛みの緩和。
副作用
胃腸障害、食欲不振、腎障害(NSAIDs)、眠気、便秘(オピオイド)。

まとめ

乳腺腫瘍は犬猫の雌で非常に多い腫瘍です。
「しこり」を見つけたら、様子を見ずに早めの受診を。
早期発見・早期治療で元気に過ごせる可能性が高まります。
予防のためにも、避妊手術をしっかり考えましょう。

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