犬猫の不整脈――脈のリズムが乱れるときに気をつけたいこと

はじめに

「ワンちゃんや猫ちゃんの動きが遅い」「急に倒れたり、ふらつくことがある」――
そんなとき、「不整脈」という心臓のリズムの乱れが原因かもしれません。

目次

不整脈って?

不整脈とは、心臓の拍動が正常なリズムから外れてしまう状態を指します。
心臓は規則正しく動くことで全身に血液を送り出していますが、そのリズムが「速すぎる」「遅すぎる」「バラバラになる」ことで体に様々な不調が起こります。

  • 急に倒れる(失神)、ふらつく
  • 元気がない、疲れやすい
  • 動きが鈍くなる、息切れ
  • 呼吸が荒い、呼吸数が増える
  • ごく軽度の場合は、ほとんど症状が出ないことも

治療について

治療方針は不整脈のタイプや重症度によって異なります。

  • 軽度・無症状の場合:経過観察や定期的な心電図チェックのみで十分なケースも
  • 明らかな症状がある場合:原因疾患(心臓病や電解質異常、ホルモン異常など)の治療が最優先
  • 重度の場合や失神がある場合:抗不整脈薬(ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬など)、ペースメーカー治療が必要なことも

おうちで気をつけたいこと

  • 普段から元気・運動量・呼吸の様子をよく観察する
  • 失神やふらつき、急な呼吸困難があれば「すぐに」動物病院へ
  • 治療中はお薬の飲み忘れや急な運動を避け、定期検査を忘れずに

治療で使われる主な薬と副作用

β遮断薬(交感神経を抑えてリズムを整える薬)

アテノロール、カルベジロール、プロプラノロールなど

分類
β遮断薬(抗不整脈薬・降圧薬)
作用
心臓への刺激を抑えて心拍数を下げ、リズムを整えます。頻脈性不整脈や高血圧、心筋症の補助療法として使われます。
副作用
徐脈(脈が遅くなる)、元気消失、食欲不振、低血圧、まれにふらつき。
カルシウム拮抗薬

ジルチアゼム

分類
カルシウム拮抗薬(抗不整脈薬)
作用
心臓の収縮やリズムをコントロールし、主に上室性頻脈や心房細動のコントロールに用います。
副作用
低血圧、元気消失、食欲不振、ふらつき。
ナトリウムチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)

リドカイン(静脈注射)

分類
I群抗不整脈薬(局所麻酔薬としても使用)
作用
心臓の異常な電気信号を抑え、特に重度の心室性不整脈(致死的不整脈)の緊急治療で用います。
副作用
眠気、けいれん、吐き気、重度の心機能抑制(高用量時)。

プロカインアミド

分類
I群抗不整脈薬
作用
上室性・心室性の頻脈性不整脈に使用します。
副作用
低血圧、徐脈、消化器症状、まれに心停止。
カリウムチャネル遮断薬(III群抗不整脈薬)

ソタロール

分類
III群抗不整脈薬
作用
心室性頻脈や重症不整脈を抑え、心臓の電気的安定性を高めます。
副作用
徐脈、元気消失、食欲不振、QT延長による心室性不整脈(重症例で注意)。

まとめ

不整脈は軽いものから命に関わる重症例までさまざまです。
症状が出にくいこともありますが、「なんとなく変だな」と思ったら早めに相談を。
心臓の健康を守るには、日々の観察と早期発見・早期治療が大切です。

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