突然の嘔吐や元気消失、実は“膵臓”が原因かも?

はじめに

犬や猫が急に嘔吐したり、ぐったりして食欲がなくなると、「何か悪いものを食べたのかな?」と心配になりますよね。
そんなとき、膵臓という消化器官にトラブルが起きていることがあります。その代表が「膵炎」です。

目次

膵炎って?

膵炎とは、膵臓に炎症が起こる病気です。
膵臓は、お腹の中にある消化液をつくる臓器で、脂肪やタンパク質の消化に欠かせません。
この膵臓が自分自身を“消化”し始めてしまい、強い炎症や痛み、全身の不調を引き起こすのが膵炎です。

膵炎には「急性」と「慢性」がありますが、特に犬では急性膵炎が多く、猫では慢性膵炎が隠れていることもあります。

  • 突然の嘔吐
  • 食欲不振
  • 元気消失
  • 腹痛(お腹を丸めてじっとしている、触ると痛がる)
  • 下痢
  • 脱水
  • 発熱
  • 重症化するとショックや意識低下を起こすことも

猫の場合は症状が分かりづらく、食欲不振や元気消失だけで気づかれることも多いです。

治療について

膵炎の治療の基本は「安静」と「サポートケア」です。

  • 絶食・点滴
     膵臓を休ませるため、まずは食事を控えて点滴で水分・栄養・電解質を補います。
  • 吐き気止め、鎮痛薬の使用
  • 消化酵素の分泌を抑える治療
  • 抗生剤(重症例や感染が疑われる場合)

状態が落ち着いてきたら、消化の良いフードから少しずつ食事を再開します。
猫では慢性膵炎が多いため、長期的な食事療法や他の臓器疾患(肝臓、腸との三臓器炎など)のケアも重要になります。

おうちで気をつけたいこと

  • 高脂肪のおやつや人間の食べ物を避ける
  • 肥満に注意
  • 嘔吐や元気消失が見られたら早めに受診する

膵炎は再発しやすい病気でもあるため、一度発症した子は今後も生活管理に注意が必要です。

治療で使われる主な薬と副作用

抗炎症

ブレンダ®(フサプラジブナトリウム)

作用
膵炎の炎症を強く抑えるために使われるリポカリン2阻害薬(LPL抑制剤)です。特に犬の急性膵炎の治療において、炎症の悪化やショックを防ぐ目的で用いられています。
副作用
比較的安全性が高いとされていますが、ごくまれに食欲低下や下痢などの消化器症状が報告されています。
鎮痛薬

ブトルファノール

作用
オピオイド系鎮痛薬で、膵炎の強い腹痛をしっかり抑える。
副作用
眠気、ふらつき、食欲低下、まれに呼吸抑制。

ブプレノルフィン

作用
オピオイド系鎮痛薬。作用が長く、猫にも使いやすい。
副作用
眠気、食欲低下、呼吸抑制(まれ)。

NSAIDs(メロキシカム、ロベナコキシブなど)

※重症膵炎や脱水時は腎臓負担リスクのため、慎重に適応判断
作用
痛みや炎症の緩和。
副作用
嘔吐、下痢、腎障害(特に脱水時)。
制吐薬・消化管運動促進薬

セレニア®(マロピタント)

作用
強い吐き気・嘔吐をしっかり止める。
副作用
注射部位の痛み、まれに元気消失。

プリンペラン®(メトクロプラミド)

作用
消化管の動きを促進し、吐き気を抑える。
副作用
興奮、眠気、下痢など。

プロナミド

作用
胃から腸への内容物の移動を助け、吐き気を抑える。
副作用
まれに下痢や軟便、軽い興奮や食欲増進。
補液・点滴

乳酸リンゲル液、電解質バランス輸液

作用
脱水やショック、電解質異常の改善
副作用
過剰投与時の心臓負担、肺水腫
抗生剤(重症例や感染を伴う場合)

アモキシシリンなど

作用
膵炎に合併する細菌感染時に使用
副作用
下痢、嘔吐、アレルギー
胃薬・粘膜保護剤

オメプラゾール

作用
強力に胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)。胃や十二指腸の潰瘍予防・治療、膵炎時の胃腸保護に有効です。
副作用
まれに下痢、便秘、食欲低下。長期連用で腸内細菌叢の変化やミネラル吸収低下の報告も。

ファモチジン®(ガスター®)

作用
胃酸を抑えて胃の粘膜を守る
副作用
ほとんどなし

スクラルファート

作用
胃や十二指腸の粘膜保護
副作用
便秘

まとめ

膵炎は、突然の嘔吐や食欲不振、ぐったりするといった症状で始まり、重症化すると命に関わることもある病気です。
「いつもと違うな」「急に調子が悪いな」と思ったら、様子を見すぎず、早めにご相談ください。
早期のケアが回復への近道です。

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