犬の会陰ヘルニア――お尻の横がふくらむ、うんちが出にくい…は要注意!

はじめに

「オス犬のお尻の横がふくらんでいる」「便が出にくそう」「排便に時間がかかる、いきんでも出ない」――
そんなときは会陰ヘルニアという病気が隠れているかもしれません。

目次

会陰ヘルニアって?

会陰ヘルニアは、肛門の横(会陰部)の筋肉や組織が弱くなり、骨盤内の臓器(直腸や膀胱、小腸など)が皮下に飛び出してしまう病気です。
お尻の横がふくらんで、触るとブヨブヨした感じになります。

  • お尻の横が膨れる、左右非対称になる
  • 便が出にくい、いきんでもうまく出ない(排便困難)
  • 便が細くなる、あるいは全く出ない
  • 排尿困難(膀胱や前立腺が飛び出した場合)
  • お尻の痛みや違和感、歩き方が変になる
  • ひどい場合はぐったり、嘔吐、食欲不振、命に関わることも

治療について

基本的には外科手術が必要です。

  • 飛び出した臓器を正しい位置に戻し、弱くなった筋肉や組織を修復
  • 再発予防のため、去勢手術を同時に行うことが多い
  • 排便・排尿障害が重度な場合は、緊急手術や入院治療が必要

おうちで気をつけたいこと

  • 便秘や排便のいきみが続く場合は早めに受診
  • お尻のふくらみ、違和感、排便・排尿のトラブルにすぐ気づく
  • 手術後は便をやわらかくする食事や薬、生活管理が大切

治療で使われる主な薬と副作用

下剤(便をやわらかくする薬)

ミララックス(ポリエチレングリコール:PEG)
 副作用:下痢やお腹の張り、まれに吐き気が出ることがあります。

コンスーベン®(ピコスルファートナトリウム)
 副作用:下痢や腹痛、まれに吐き気や腹鳴が出ることがあります。

酸化マグネシウム(マグミット®など)
 副作用:まれに下痢や嘔吐、長期大量投与で電解質バランスが崩れることがあります。

ラクツロース

作用
腸内で浸透圧を高め、水分を引き寄せて便をやわらかくし、排便をスムーズにします。猫・犬ともに安全に使いやすい。
副作用
下痢、腹部膨満感、まれに電解質異常。

ミララックス®(ポリエチレングリコール:PEG)

作用
腸内に水分を保ち、便のカサを増して柔らかくする浸透圧性下剤。無味無臭で使いやすい。
副作用
下痢、腹部不快感、まれに脱水。

コンスーベン®(ピコスルファートナトリウム)

作用
大腸の動きを刺激して排便を促す刺激性下剤。即効性があり、頑固な便秘時に使うことが多い。
副作用
腹痛、下痢、まれに電解質異常。

酸化マグネシウム(マグミット®など)

作用
腸管内の水分量を増やし、便をやわらかくします。便秘や硬い便の排出補助に幅広く使われます。
副作用
下痢、まれに高マグネシウム血症(特に腎機能低下時)。
鎮痛薬(手術後や痛みが強い場合)

ブトルファノール、ブプレノルフィン

作用
手術や痛みを伴う症状の際の強力な鎮痛薬。
副作用
眠気、ふらつき、呼吸抑制(まれ)。

メロキシカム(メタカム®)、ロベナコキシブ(オンシオール®)

作用
手術後や炎症・痛みの軽減に使われる非ステロイド系消炎鎮痛薬。
副作用
嘔吐、下痢、腎臓負担(脱水時は注意)。
抗生剤(術前・術後の感染予防、合併症時)

アモキシシリンなど

作用
感染症予防・治療。
副作用
下痢、嘔吐、アレルギー。

まとめ

会陰ヘルニアは中高齢の未去勢オス犬で多く、お尻のふくらみや排便障害がサインになる病気です。
放置すると命に関わることもあるため、異変に気づいたら早めに動物病院でご相談ください。
早期の手術とケアで、ワンちゃんの快適な生活を取り戻せます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次