室内飼いでも油断大敵!ノミ・マダニが運ぶ危険な感染症

ノミやマダニって、ただの虫じゃないの?
暖かくなってくると、お散歩や外遊びが楽しい季節ですね。でも実はこの時期、わんちゃん・ねこちゃんにとっての天敵、「ノミ」と「マダニ」も活発に活動を始める季節でもあります。
これらの外部寄生虫は、ただの“かゆみ”の原因になるだけではありません。命に関わる感染症を媒介することもあり、人への健康被害も報告されています。
今回は、ノミやマダニが引き起こす代表的な病気や、その予防についてわかりやすくご紹介します。
ノミが媒介する主な病気
- 猫ひっかき病
ノミが持つバルトネラ菌が猫に感染。感染した猫に引っかかれたり噛まれたりすることで人にも伝播し、リンパ節の腫れや発熱を引き起こします。 - ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液にアレルギー反応を起こし、激しいかゆみ・湿疹・脱毛が見られます。
1匹に刺されただけでも重症化することもあります。 - 瓜実条虫(サナダムシ)感染症
ノミを口にしてしまうことで感染。小腸に寄生し、下痢・嘔吐・体重減少などの症状が出ることがあります。
マダニが媒介する主な病気
- SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
マダニが持つウイルスにより、犬猫や人にも感染する恐れがあります。発熱・下痢・出血など重い症状が出て、致死率が高いことで知られています。 - 犬バベシア症
バベシア原虫が赤血球に寄生し、貧血・発熱・元気消失・黄疸などを引き起こします。重症化すると命の危険もあります。 - 猫ヘモプラズマ症
ノミやマダニから感染。赤血球が破壊され、貧血・発熱・食欲不振が見られます。 - 日本紅斑熱
リケッチアという細菌による感染症。人では高熱・発疹などが現れますが、ペットでは症状が目立たないこともあります。 - ライム病
ボレリア菌を持つマダニによって感染。人では関節炎・神経症状・遊走性紅斑などを引き起こすことがあります。犬ではまれに発熱や関節痛が出ることもあります。
その他のダニによる病気
- 耳ダニ(ミミヒゼンダニ)感染症
耳の中で繁殖し、かゆみ・耳垢の増加・外耳炎を引き起こします。 - ニキビダニ症(毛包虫症)
通常は問題ありませんが、免疫力が低下すると皮膚炎や脱毛を起こします。 - 犬疥癬(イヌセンコウヒゼンダニ)感染症
皮膚にトンネルを作って寄生し、激しいかゆみと皮膚炎を引き起こします。
飼い主さんやご家族への影響も
ノミやマダニが媒介する病気は、実は人間にも影響するものが少なくありません。
- ノミ刺咬症:ノミに刺されてかゆみや発疹が出ることがあります。
- 猫ひっかき病:バルトネラ菌により、リンパ節の腫れ・発熱などを引き起こします。
- SFTS:犬猫を介して人に感染するケースも。命に関わる病気です。
- 日本紅斑熱・ライム病:マダニが媒介し、高熱や皮膚症状などが現れることがあります。
ノミ・マダニの予防はどうすればいい?
動物病院では、定期的な予防薬の使用をおすすめしています。
最近では 月1回タイプだけでなく、3か月に1回でOKなタイプも登場しています。
- 首の後ろに垂らすタイプ(スポットオン)
- おやつ感覚で飲ませるタイプ(チュアブル)
- フィラリアと一緒に予防できるタイプ
など、さまざまな選択肢があります。
大切なのは「使い続けられる」こと。かかりつけの先生と相談して、
それぞれのわんちゃん・ねこちゃんの性格や体質、生活環境に合わせて最適なものを選びましょう。
室内飼いの子も油断は禁物!
「うちの子は外に出ないから大丈夫」と思っていませんか?
ノミやマダニは、人の衣類や靴にくっついて 家の中に入ってきたり、網戸の隙間から入るケースも…。
実際に、完全室内飼いの猫ちゃんでも寄生が見つかることがあります。
完全室内飼いでも安心せず、しっかり予防しておくことが大切です。
予防薬を使っていてもマダニ咬まれたら病気に感染するの?
市販されているマダニ予防薬(例:ネクスガード、ブロードラインなど)は、
マダニが犬や猫の皮膚を咬んで血を吸おうとした際に、体内に取り込まれた薬剤によって駆除されるという仕組みです。
つまり、「咬まれること自体は防げない」というのが正確な理解です。
このように、予防薬を使っていてもマダニが一度咬むことは避けられません。
ここで、「咬まれた時点で病気に感染してしまうのでは?」という不安を感じる方も多いと思います。
ですが、重要なのは「咬まれている時間」です。
感染は “時間との勝負”
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)をはじめとするマダニ媒介性感染症は、
マダニが吸血を続ける時間が長くなるほど感染リスクが高まると考えられています。
例えば、
- ネズミチフスやライム病では、「24〜48時間吸血が続いた場合に感染リスクが上がる」ということが知られています。
- SFTSについても、「咬まれてすぐにウイルスが体内へ侵入するわけではなく、ある程度の吸血時間が必要」と考えられています。
この点で、予防薬の速効性がとても重要になります。
予防薬が発揮する“防御力”
たとえば、ネクスガード(アフォキソラネル)などのマダニ駆除薬は、
マダニが咬みついてから約6〜12時間以内に致死効果を発揮するとされています。
つまり、ウイルスが体内に侵入する前にマダニを駆除できる可能性が高くなるということです。
ここで大事なのは、予防薬の目的が
「咬まれるのを完全に防ぐ」ことではなく、
「咬まれても速やかに駆除することで、感染リスクを大きく下げる」
という点です。
感染までに“時間差”があるからこそ、薬の即効性と継続的な予防の習慣がとても重要になります。
現実的かつ有効な対策とは?
感染を完全に防ぐ方法は残念ながら存在しません。
ですが、リスクを最小限に抑えるために、次のような対策が非常に有効です。
- 予防薬をしっかり使っておくこと(できれば通年)
- 散歩や外遊びのあとは、ペットの体をチェックしてマダニが付いていないか確認すること
- 草むらや山林など、マダニの多い環境への立ち入りを避ける or 対策を強化する
このように、「予防薬+外出後のチェック+生活環境の工夫」の組み合わせこそが、
もっとも現実的で効果的なマダニ対策といえるでしょう。
ノミ・マダニのお薬って強いの?人やペットに害はないの?
ところで、
「ノミやマダニを殺すってことは、うちの子の体にも毒じゃないの?」
そんなご不安の声もよくお聞きます。
でも、安心してください
ノミ・マダニ予防薬は、
哺乳類(=犬や猫、人)には安全な仕組みで作られています。
どうして哺乳類には害がないの?
市販・動物病院で使われているノミ・マダニ予防薬の多くは、「神経系」に作用するタイプが主流です。
代表的な有効成分には以下のようなものがあります
| 成分 | 代表的な製品 | 作用のしくみ | 哺乳類に安全な理由 |
|---|---|---|---|
| フィプロニル | フロントライン系 | 昆虫の神経を麻痺させる | 哺乳類の神経には作用しにくい構造 |
| イソオキサゾリン系 (フルララネル、 アフォキソラネルなど) | ネクスガード、 ブラベクト | 神経伝達物質(GABA)に作用 | 哺乳類のGABA受容体には結合しにくい |
| セラメクチン | レボリューション | 寄生虫の神経・筋肉に影響 | 哺乳類の細胞には影響が少ない |
つまり、「ノミやマダニの神経がダメージを受けるように設計されている」のです。
ちゃんと安全性は確かめられているの?
はい!
これらの薬は、農林水産省や海外のFDA(米国食品医薬品局)などの厳しい審査をクリアした上で販売されています。
また、動物ごとの用量もきちんと定められているので、適切に使えばとても安全です。
参考文献・情報元:
・農林水産省 動物用医薬品データベース
・FDA (U.S. Food and Drug Administration) 動物用医薬品ガイドライン
・Merial, Elanco, Zoetisなど各製薬会社の製品情報(例:Frontline製品情報(Merial))
・Papich, M.G. (2016). Saunders Handbook of Veterinary Drugs(獣医薬理学参考書)
注意点も忘れずに!
- 誤った使い方(体重に合わない量を使う)
- 間違った動物種への投与(例:犬用を猫に使う)
- 体質に合わない子(稀にアレルギーや副反応が出る)
などの場合にはトラブルになることもあります。
必ずかかりつけの動物病院で処方・相談のうえで使用するのが安全・安心のポイントです!
まとめ
ノミやマダニによる病気は、正しい予防で防ぐことができます。
春〜秋にかけての予防はもちろん、地域によっては通年予防をおすすめすることもあります。
愛犬・愛猫、そしてご家族みんなの健康のために、今からしっかり予防していきましょう

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