「あれ、くさいかも?」と思ったら!愛犬の口臭と歯石のほんとの話

今回は、意外と見落とされがちだけどとても大切な「お口の健康」についてお話しします。
「うちの子、歯磨きしたことないけど元気だから大丈夫!」と思っている方も、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
歯石とは?
歯石とは、
歯の表面についた歯垢(プラーク)が硬く固まったもののことです。
食べかすや口の中の細菌が混ざってできた「歯垢」は、放っておくと2〜3日で石のように硬くなり、歯石になります。
歯垢と歯石のちがい
スクロールできます
| 種類 | 性質 | 取れる方法 |
|---|---|---|
| 歯垢(プラーク) | やわらかい・ネバネバ | 歯ブラシやガーゼで取れる |
| 歯石 | 固くこびりつく | 歯磨きでは取れない× → 病院で除去が必要 |
歯石の表面はザラザラしていて、
その上にさらに汚れや細菌がつきやすくなるので、どんどん悪化のサイクルに…
犬はどうして歯石がつきやすいの?
人間と違って、犬は虫歯になりにくいのですが…
そのかわりに、歯石がとてもつきやすいという特徴があります。
これは、犬の唾液の性質に関係しており、犬の唾液が“アルカリ性”のためです。
人の唾液
酸性(虫歯菌が活発)→ 虫歯ができやすい
犬の唾液
アルカリ性(カルシウムやリンが沈着しやすい)→ 歯垢がすぐに歯石になりやすい
さらに、犬はごはんをあまり噛まずに丸のみすることが多く、歯がこすれにくいため、
自然な“歯の掃除”が起きにくいのも歯石がたまりやすい原因のひとつです。
つまり、気づいたら歯石だらけ…
なんてことも少なくありません。
歯石になるともう歯ブラシでは落とせません。
動物病院での スケーリング(歯石除去)が必要になります。
歯石を放置すると「歯周病」に!
「少し汚れてるくらいなら大丈夫かな…」
実はこれ、とっても危険な考え方なんです。
歯石の表面には大量の細菌がついていて、どんどん歯ぐきの内側へと入り込みます。
その結果、起こってくるのが 歯周病(歯周炎)です。
歯周病で見られる症状
- 口臭が強くなる(腐ったようなにおい)
- 歯ぐきの腫れ・出血
- 歯がグラグラする・抜ける
- よだれが増える
- 顎の骨が溶ける(重度の場合)
- 目の下が腫れる、膿が出る(歯根膿瘍)
食べづらそうにしていたり、硬いものを避けていたりするのも、実は痛みのサインかもしれません。
歯周病は全身の病気にも関係する!?
実は、口の中の細菌は、血流に乗って心臓や腎臓、肝臓などに影響を及ぼすことがあります。
これを「菌血症」と言い、心内膜炎などの病気のリスクにもなることがわかってきました。
治療方法は?
スケーリング(歯石除去処置)
全身麻酔下で、専用の機械を使って歯石をしっかり取り除きます。
表面だけでなく、歯ぐきの内側に隠れた部分(歯周ポケット)も丁寧にケア。
状態に応じて、グラグラしている歯を抜歯することもあります。
「麻酔が心配…」という声もよくいただきますが、
事前に血液検査などで体調をしっかりチェックし、安全に配慮して行います。
※「無麻酔スケーリング」はおすすめしていません。(表面だけで、根本的な治療にならないため)
薬による補助療法
抗生物質や痛み止めを併用して、炎症や痛みをコントロールします。
いちばん大事なのは「予防」
でも、もしすでに歯石がついてしまっている場合は、
動物病院での「スケーリング(歯石除去処置)」が、まず最初のケアになることもあります。
見た目だけでなく、口の中の細菌環境をリセットする大事なステップです。
「歯磨きができていなかったけど、これから頑張りたい!」
そんなときは、スケーリングでお口をリセットしてから、予防のケアを始めるのが理想的です。
歯磨きのポイント
- 最初はガーゼや指サックからスタート
- 嫌がらない子には専用の歯ブラシへ
- 犬用の歯磨きペーストを使うと楽しくできる
- 1日1回が理想ですが、週3〜4回でも効果あり!
慣れるまでには少し時間がかかりますが、わんちゃんとのコミュニケーションタイムにもなりますよ
歯磨きが難しい子には…
- デンタルガム・デンタルサプリ
- 口腔ケアジェル
- 獣医師による定期的な口腔チェック
- 必要に応じた定期的なスケーリング
など、その子に合ったケアの選択肢があります!
「歯磨きができない=あきらめなきゃいけない」ではなく、
いまの状態に合ったケアを一緒に考えていくことが大切です
まとめ
気づいたときがケアのチャンス!
| お口の状態 | 早期発見できれば… |
|---|---|
| 軽度の歯石 | スケーリングで清潔に保てる |
| 中等度の歯周病 | 抜歯を回避できる可能性あり |
お口のトラブルは、「うちの子に限って…」ではなく、多くのわんちゃんが悩む問題です。
でも、飼い主さんのちょっとした気づきと、日々のケアで、お口の健康をしっかり守ることができます!
「お口の健康は、全身の健康につながる」
愛犬がずっと元気で過ごせるように、できることから少しずつ始めてみましょう

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